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INFORMATION2022.07.15

【OPERA研究者インタビュー】“つなぐ” を力に

OPERAに関わってくださる教員の中から、若手研究者の方々をクローズアップ。
第1回目は、先端産学連携研究推進センターで特任講師・URAとして活躍する入谷先生にお話を伺いました。

 

 

農工大に来られる前はどんなことをされていたのですか?

最初は日本企業に研究者として入社し、その後、実際にいろいろな技術を製品に作り込む部署やお客様に製品の技術説明をするマーケティングのチームなどに所属しました。扱っていたのは主に測定機器で、技術を通して相手先と接するという機会が多かったですね。
その後、日本企業から外資系企業に移りました。半導体関係なのですが、その時も、日本の顧客に技術支援をしながら情報を本社にフィードバックする、もしくは本社で開発中の製品のベータテストに参加するといったことを担当していて、海外の開発部隊と日本の顧客を‘つなぐ’という業務を行っていました。
東京農工大学に来た時には、前職まではほとんどやっていなかった知的財産の管理を担当しました。情報を管理するという面では、情報管理の新しいデータベースソフトを作って販売提供するというようなことに携わったこともありましたので。
そのうち、管理業務以外に連携する企業等との契約関係や、学内の先生と企業との橋渡し、協業の話の持っていき方といった交渉も担当するようになり、やはり’つなぐ‘という仕事をしてきて現在に至っています。


URAだけでなく、OPERAでは研究担当もされ日々忙しい入谷さんですが、さらに博士課程在籍中の学生でもあります。この道を選んだ理由はなぜですか?

やっぱり大学の中で仕事をしていると、研究的な肩書は大事になります。私自身は企業にいた頃、「大学で2年やった」のと「企業で2年やった」とで、何が違うのだろうか?と思っていました。もちろん、分野としては同じ研究をやっているのですが、企業の研究の進め方は、やはり違います。そこで2、3年やっていれば、その分野に対し、より細かく精通していきます。だから、どこで研究に関わって突き詰めているかの質の違いくらいじゃないかと思っていました。でも、企業の考え方も変わり、終身雇用が無くなったりして、肩書だけが飛んでいくんです。また、以前の勤務先であった米国の会社では、勤務しながら、わりと多くの人が勉強もしていて。例えば技術移転関係の人たちだと、みんなドクターを持ってるんです。そういう意味でもドクターはあるほうがいいんだろうなと思っていました。
自分の専門分野はもともと物理で、それこそOPERAの課題1の分野である光に近い研究室でした。世間は狭いものです。でも、自分はその分野から離れて久しいですし、今からその分野を突き詰めてドクターを取得したとして、それを活用するということも含めて、なかなか難しいかなと思いました。そこで、大学の成果をどう展開していくかということについてであれば、これまでの経験を活かす、つまりいろいろな視点で見た経験を突き詰めていけるのでないかと思ったんです。
技術移転の研究は、基本的にはケーススタディで、‘こういうことやって、こういうことができました’という発表はいっぱいありますが、では、その先、それがうまく行っているのかがわからなかったりもする。いくら研究ベースで‘こういういいシーズがあります’と言っても、なかなかそれがうまく表へ出ていかないし、もし企業の中にいたとしても、うまく製品にならないことが多かったんです。
そういうところを、もう少し改めて見直してみたいなと考えていたときに、3大学*で、学術博士というコースがあることを知り、これならばチャレンジしてもいいかなと入学しました。
 *3大学:東京外国語大学・東京農工大学・電気通信大学の3大学で設置された文理協働型教育課程(大学院博士後期課程)

 

―博士課程に在籍され、どのような学びがありますか。

参加されている他大学の先生や同期の学生の発表を聞くことで、先程のような視点で調査研究をすることがいかに大事かということが分かります。文系の方や、理系でも同じ分野でない人に、自分の研究分野の話をいかに簡単に説明するかということは非常に難しいです。例えば、化学物質の名前言うだけで拒否反応を出されてしまいます。ただ、自分の研究している内容を分かりやすく説明するっていうのは、すごく大事なことだと思うんです。そうでないと、いくらいい研究をしていたとしても、いろんな人に伝わらないし、一緒にやろうとか面白いねとか言ってもらえません。
在籍している博士課程では、そういった説明力をつけるためにものすごく良いトレーニングの場です。まだまだ、自分はできてないところが多いですが(笑)。

 

OPERAで形成するコンソーシアムについて、どう思われていますか。

これからコンソーシアムのような考え方がますます広がっていくなかで、どちらかというと若手の研究者は、一人でやることを普通だと思ってきているところがあって、チームをつくってやるという発想ができる先生とできない先生とではっきりしています。
当然、分野によっても違います。似たような研究をやってるから、隣の研究室とはセパレートしないと自分たちの研究・知財は守れない、という考えをお聞きすることもあります。そうかと思えば、学生も含めて研究室同士で一緒にこの分野をやってみようと教え合いながら進めている研究室もあります。
ただ、組むことに慣れてないとチームを作って大型の研究予算は取れません。また、チームを作ったとしても、まとめ役するのは雑務含めていろいろ大変なため、なかなかまとめ役になりたがらないという現実があります。
これからは、専門性を大事にしつつ、いろんな目線・視点を持った研究者がどんどん出てくると、いろんな形の研究活動が活発なるんじゃないかと思います。ただし、チームを作るために単純に門戸を広げすぎてしまうと、広くやって何も専門性、柱がないことになって、全体がぐらついてしまうと思います。

 

― URAの立場から農工大やOPERAをみて思われることはありますか。

OPERAで実施している各研究課題(研究分野)とコアテクノロジーである光科学分野の‘融合’で言うと、このコンソーシアムへの参加をきっかけにして、参加されている先生方はそれぞれの研究分野で一つの事象を突き詰められていながら、実際にこのような融合は良いとおっしゃる先生が結構いらっしゃいます。よくよくお話を伺ってみると、自分たちの研究はこういうことをやっているけれども、コンソーシアムに参加したことで光科学分野の視点の情報もあったら、より自分たちの研究が深まるんじゃないかと言ってくださいます。こういった別視点からの情報のやりとりは、実はそれぞれの先生が、普段から考えてはいるものの、なかなか機会がなくてできてないのではないか、と感じています。

 

― 学内のコラボレーションとか、コンソーシアム形成の一つの手として、まず形を作ってしまうというやり方はどうでしょうか。

確かに、まずは、最初にトップダウン的なコンソーシアムを作ってしまうほうが、研究者間も話しやすいのかなという気がしています。
また、何をもってコラボレーションやコンソーシアム形成の成功とするのかという視点がポイントで、成果を‘外’に発信しようという発想は、すごく大事だと思うんです。
‘外’に出していかない限り、なんのためにやってるんだという話にもなります。しかし、出すことだけにフォーカスするのではなく、必ずベースとして大学で基礎的研究を推し進めていく。専門性を活かしながら、自分の研究は研究としてきちんと進めることや、次の‘ネタ’を探すことを、研究者自身が仕掛けていかないといけない話なんだと思います。


忙しい毎日を過ごす中でのオンとオフ、どう切り替えていますか。

研究を仕事にしてるのであれば、生活の中からもヒントあるかもしれないので、色々なところにアンテナ張っておく必要はあると思うんです。周りの研究者の方をみていると、わりと皆さん家族的な話をされたり、自分の個人の予定とかはしっかり持たれているようなので、そこは切り替えてられているんじゃないかなと思います。私自身はテニスを週に1回、夜ですがスクールに行ったりしています。
研究室で言えば、今はコロナの関係があって、学生さんがなかなか来られなくて、一人でもんもんとやっている、という環境です。でも、それはあまりよくないと思っています。
研究室に来ることができれば、そこにいる人たちと、何気ない話をするだけでも、新たな発見ができます。実はその雑談的な話の中に、ある程度ヒントになることがあったりして、お互いにいい影響が出てくると思っています。
例えば、学会発表では、発表も大事ですが、その前後で行える雑談から得られるものも多いです。厳密にはリフレッシュとは違うかもしれませんが、あくまで発表は発表として自分の研究成果はしっかりアピールしながら、そのあとで行う色々な方とのディスカッション、他人とのコミュニケーションが、それぞれの人の考え方を受けてリフレッシュできるという意味では、研究に限らず、人として気分転換になるのかなという気がしています。

 

ご自身がこれからのキャリア形成でどうありたいか、夢や目標などはありますか。

どこを自分の専門領域にするんだっていうのは、周りからも言われています。今すぐどうするかは決められないから、今のところ‛広く浅く’としています。

―何でも広く浅く と謙遜されていますが、広く浅く取り組まれていること自体が、入谷さんの原動力でもあり強みなのかもしれませんね。

研究室には、趣味とまでは言いませんが(笑)、そのくらい好きなことを仕事にされている方がいらっしゃいます。それは、うらやましいですね。

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<事務局より>
日々自ら学びながら研究活動・大学での要務もこなすスーパーリサーチャーぶりをお話いただきました。予定時間を越えて、ラマン顕微鏡でデータ計測作業をされていると、時間を忘れすごく楽しいというお話も伺えました。

次回は、工学研究院 准教授(テニュアトラック)吉野大輔先生のインタビューをお届けします。

 

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