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INFORMATION2022.08.22

【OPERA研究者インタビュー】プロバイオティクス研究で食の未来をつなげる

OPERAに関わってくださる教員の中から、若手研究者の方々をクローズアップ。
今回は、グローバルイノベーション研究院テニュアトラック推進機構 准教授(テニュアトラック)
宮本 潤基先生にお話を伺いました。

 

 

 

― 農工大に来られるまでの経歴を教えてください。

静岡県三島市の出身で、国立遺伝学研究所の上にある中学校に通っていました。現在の研究テーマとは全く関係ないのですが、研究所が近くにあったというのは、研究者になった今、縁を感じますね。私は普通科の高校ではなく高専に進学しました。当時、親や周りからは高専より普通科に進学してほしかったと言われましたが、結果的に進学先としてはこちらの道で良かったと思っています。また、5年一貫の高専は入学した段階で学科が決められるのですが、運良く自分の興味にあった生物系の先生が何名かいらして、生物系の研究室に配属できたことも良かったと思っています。大学進学や就職といった進路を考える頃に、当時ヨーグルトが好きという単純な動機からプロバイオティクスに興味を持っていて、ぜひその研究をしたいという気持ちで進学先を探しました。そこで、精力的にその研究が行われていた広島大学を見つけ、3年次編入し希望通りプロバイオティクスの研究をされている先生の研究室に入ることができました。当初は修士課程を出たら就職することを考えていたのですが、その先生との出会いにより博士課程に進学したいという気持ちが強くなって進学しました。博士課程2年からは多くの巡りあわせで、農工大で新しい研究を進める機会を頂きました。農工大での研究は非常に興味深く、学位は広島大学で取得したのですが、引き続き、農工大で研究を継続する機会を頂き、現在に至ります。農工大歴は博士課程2年から現在までといったところです。

 

― 先生ご自身がプロバイオティクスに注目されるようになったきっかけは何だったのでしょうか。

2004年頃だったと思うのですが、高専在学中に食品偽装の問題が社会問題化して食の安全性などが取り上げられていた時期で、食品に関心を持つようになったのは良く覚えています。その際、それに関連してプロバイオティクスを紹介してくれた講師の方のお話を聞いたのがきっかけだった思います。

 

― 現在の研究内容やテーマやOPERAでやっていきたいことについて教えてください。

キーワードは腸内細菌ですね。プロバイオティクスだけでなく食べた食事がそのまま自分たちの体に直接関わるものもあれば、腸内細菌が関与して間接的に関わってくるものもある。そこを今メインに明らかにしたいと思っており、腸内細菌の機能全般について研究しています。どういう食事をとると腸内細菌に影響して、さらに相乗的に自分たちにどのように効果があるか、それは良いものだけでなく悪いものも含めてですが、1食べた食事が10にも20にもなって自分たちに関わってくるというところを見ていきたいです。OPERAではそこを可視化していきたい、良いこと悪いこと含め‘見える’ということで、結果的に予防につなげていけるといいと思っています。

  

― 先生ご自身の食生活でも腸内細菌を気にされたりしますか。

自身の食事のことは良く質問されるのですが、普段の食事のとり方で特別気にしていることはありません(笑)。毎朝ヨーグルトを食べることぐらいでしょうか。

  

― 先生の研究で変えたいと思うことはどんなことですか。

自分の研究成果を「具現化」したいなと思っています。100%そこに注力したいわけではありませんが、食品を研究対象にしている以上は、最終的に自分の研究成果があったから、この商品ができたということに少しでも携わりたいですし、自分が携わったものがどういうプロセスを経て市場に出るのかという全体的なところまで見てみたいと思っています。

 

― 農工大宮本先生プロデュースの商品が世に出る日を見たいですね!

そういう商品が出せるといいですね!

去年の農工大の学園祭でアルコールにブルーベリーという商品「農工大クラフト*」が出ていましたが、ああいったものはすごくいいなと思っていまして。例えば、自分であれば、機能性を付与したものが良いかななんて思いましたね。
*農工大クラフト:東京農工大学発のビールプロジェクトで発表されたブルーベリーと超音波熟成で生まれた農工融合のビール

 

 

- キャリア形成で困ったことはこれまでありますか。

やはり研究費の面でしょうか。自身がやりたいことをとことん求めようと思うといくらあっても足りないので、そこは大きいと感じています。また、本当は私と同じぐらいの年齢だとポスドクなどをやっている方が多いと思いますが、多くの先生方の御指導、御厚意もあり、自分は運よくこの年齢で研究室を持つことが出来ましたが、この研究室を自分が途絶えさせてはいけないという危機感は常にあります。研究費だけでなく、研究やラボのマネジメントなどの研究室運営についてあまり教わる機会がないまま独立したことで色々突き当たっているのは事実です。しかし、そういった困ったことについては、同じ農学部や学科で年齢の近い先生に気軽に相談できる機会があるので、情報交換しながら対応しています。

 

- 夢、目標はありますか。

年齢を重ねても体が動く限りは実験室で手を動かしていたいと思っています。それが夢といえるかどうかはわからないのですが(笑)。もちろん教育もきちんと行っていかなければいけませんが、‘生涯研究者’で居続けられればと思っています。

 

 

忙しい毎日を過ごす中でのオンとオフ、どう切り替えていますか。

基本的には家では仕事をしないようにしています。家に帰ってからは仕事のメールチェックも極力しません。今はWeb会議などもあったり、土日でも学会が増えてきたんですが、それでも、家ではなく大学に来て参加したり、必要がない時以外は家には仕事を持ち込まないことでオンオフを作っています。もし急ぎの内容で対応が必要になったら、やはり家ではなく研究室にきて対応しています。家でやると誘惑も多くなかなか進まないなと感じています。趣味は学生時代からしていたサッカーです。今はあまり動けていませんが、仕事でうまくいかないことがあり本当に切り替えたいという時はサッカーをして汗をかきます(笑)。観戦することも好きなので、時間があえば観にいったりもしていますよ。

 

 

― 農工大の良いところは。

 先生同士の距離が近いですよね。農学部・工学部2学部の大学ならではのスピード感といったところでしょうか。OPERAでもそうですし、これまで接点がなかった工学部の若手の先生に声をかけていただいて、すぐにメールがきたり。今の段階では、それが大きく共同研究までつながってはいませんが、そういうネットワークがあるというのは私にとって非常に大きいですし大変ありがたく思っています。

 

― 反対にここはどうなんだろう?と思われるところはありますか。

 農工大の知名度の低さは気になっていて、良く大根踊りをする大学と間違われます。農工の2学部であることを前面に、アピールが必要かなと思っています。

 

― これまでお話いただいたこと以外で何かやりたいと思われていることはありますか。

 OPERAで研究担当されている先生方がどんなことをメインに研究されているのかあまり知らないので、若手の先生方だけでも研究内容の紹介を課題ごとにもうかがえると面白いかなと思います。また、サイエンスランチのような企画をもっとやれるとよいと思っています。もちろん、必ずランチの時間である必要も、学内の先生だけに限る必要もありません。本学から多くのプレスリリースが出ていますが、プレスリリースを見ただけだと研究者同士でもその研究分野の専門知識がない状態なので、内容をきちんと理解するのはなかなか難しいです。たとえ研究分野が違っていたとしても、良いジャーナルを出されている先生から直接お話を伺えることは大変勉強になると思います。良いジャーナルを出されるような先生方は、そういった企画に対してもご理解をいただけるのではないかと思いますし、そういうことからもじっくり話を聞き、質問しあえる場は必要だと感じています。

 

 

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<OPERA事務局より>

いつか自身の研究が具現化できればと語る宮本先生。すでに商品化している農工大ブランドにも宮本先生の研究が活きる日が来るのではないかと期待をいだかせてもらえるインタビューでした。OPERAで腸内細菌の機能性を可視化されていくその先で、宮本先生プロデュースのプロバイオティクス商品が世に出て、食の未来につながるのが楽しみです。

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